Think Globally, Act Locally!!
(地球規模で考え、地域で足元から実践)
2015年7月1日
KES改訂6版また秋に改訂予定のISO14001では、これまでの「環境汚染の予防」だけでなく、「環境保護」についても取組むことが要求されます。
「環境保護には、持続可能な資源の利用、気候変動の緩和及び気候変動への適応、並びに生物多様性及び生態系の保護などを含むことができる」とあります。
「生物多様性と生態系の保護」について、何故必要なのか?どのような目標設定をしたら良いのか?という事業所が多いかと思います。
まず、「生物多様性と生態系の保護」を環境活動の主な目標として取り上げねばならない背景・理由を説明します。(eco検定テキスト公式テキスト5版を参考にしています。)
- 生物多様性の重要性
①生物多様性とは:自然生態系を構成する動物、植物、微生物など地球上の豊かな生物種の多様性とその遺伝子の多様性、また地域毎の様々な生態系の多様性をも意味する。
②私たちとのかかわり:人類は、自然の恵み(生物多様性がもたらすサービス)を享受して生存しており、人類存続の基盤である。
③生物多様性3つのレベル:
・生態系の多様性:干潟、サンゴ礁、森林、湿原、河川等いろんなタイプの生態系がいろんな地域に形成されていること。
・種(種間)の多様性:いろんな動物・植物や菌類、バクテリア等が生息・生育していること。世界では、これまで知られているのは約175万種です。
・遺伝子(種内)の多様性:同じ種であっても、固体や個体群の間に遺伝子レベルでは違いがあること。アサリの貝殻模様の違いや地域でのメダカの違いなどです。 - 自然の恵み(生態系サービス)
①供給サービス:食料、水、木材、繊維、医薬品原料などの資源の供給
②調整サービス:水質浄化や気候調節、自然災害防止や被害軽減、天敵による病害虫抑制等
③文化的サービス:精神的・宗教的価値や自然景観等美的価値、レクレーションの場提供等
④基盤サービス:栄養塩の循環、土壌形成、光合成による酸素の供給等 - 生物多様性の危機
地球上には、生命誕生以来、さまざまな生物種が生まれてきました。また、地球上では生物の大絶滅は5回あったといわれています。それらの絶滅は数万年から数十万年かかっており、平均すると1年間に0.001種程度であったと考えられています。
一方、人間活動によって引き起こされている現在の生物の絶滅は、過去とは桁違いの速さで進んでおり、1975年以降は、1年間に4万種程度が絶滅しているといわれています - 日本の生物多様性の危機
①開発など人間活動による危機⇒種の減少、生態系破壊、生息・生育空間の縮小・消滅
②自然に対する働きかけの縮小による危機⇒里地里山等環境の変化、生息・生育状況変化
③人間により持ち込まれたものによる危機⇒外来種・化学物質等による生態系のかく乱
④地球環境の変化による危機⇒地球温暖化など地球の環境変化に伴う生物多様性の変化 - 目標設定の考え方:NPO法人KES環境機構のホームページも参照ください。
設定目標は、上記の課題を改善するためのものになります。今後、事例等を順次紹介していきますが、事業所・現場・家庭・地域での緑・花の育成や生態系に配慮した製品・工事の拡大、NPO等との連携活動、関連資格の取得や学習などが考えられます。
NPO法人エコサポートTGAL 理事長 久留正成