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「地域づくり」とKES環境経営審査(2)

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  KES審査員としての活動を始めて、21年が過ぎました。
  その間、KESなど認証ビジネスへ求められるものも変化しています。

  認証というだけでなく、如何に経営に役立つかに変わってきています。
  審査の価値が求められており、助言力の向上が求められています。

  KES登録事業者もまだ始めたばかりのところから、20年間継続しているところもあります。

  KES活動を始めたところ、短いところでは、まだ適合性審査が重点になります。
  環境経営活動を継続する事業所では、適合性審査の内容はわかっている。
  他社はどのような動きをしているか?経営的な雑談をして欲しいなどと要望されます。

  顧客満足度を高めるためには、KES審査員は環境だけではない広い分野での絶えざる研鑽が必要です。

 
 これまで鹿児島市環境管理事業所(グリーンオフィスかごしま)の優良事業所を10年余り毎年約5社を選抜してきました。
 
 鹿児島市の環境管理事業所では、市独自の環境管理事業所だけでなく他の認証登録事業所も認定しています。
 そのため、毎年約150事業者を現地審査、あるいは書類確認してきました。
 
 結果、環境経営に取組む事業所を、層別すると5段階くらいになります。
 優良事業所は、4・5レベルから選抜しています。
 
 ・環境経営システムを何の目的で取得しているのか?
 ・トップの本気度はどうか?
 ・身の丈に合うシステムか?
  などで、環境経営レベルは大きな差が出てきます。
 
 KESは小規模事業所での取組みが多いですが、事業所の身の丈に合うため、環境意識が高くいろんな実績を上げており、高く評価されています。

 KES審査の後にアンケートした結果、直接また他の審査員が聞いた感想などを整理しました。

 多くは(1)のようなKES審査員の態度・対応に関するものです。

 (2)のように、良化点などを評価されることが、事業所のモラールアップにつながるとの声もあります。
 私もできるだけ良い点を見つけ出し、他の事業所に横展開したいとお話ししています。

 長く環境経営活動を推進するところでは、目標設定や活動のマンネリ化の悩みがあります。

 他社の設定目標・施策や活動の進め方やしかけなどを紹介すると、非常に喜ばれます。
 特に、TGALメルマガの環境経営訪問記や事業所から横展開OKを頂いた事例・改善様式などを提示すると具体的でわかると喜ばれます。
 紹介した事例などは、コピーし、活用してもらっています。

 (4)(5)は、多くのKES審査員は会社時代にいろんな専門技術などを身に着けていますので、その助言が役立ったと喜ばれた例です。 

 一行目の事例は、初めに電気使用料を削減した事例です。
 かなり環境活動を推進しており、社長からは「環境面での効果は期待していません。KESを紹介してくれた社長から品質が良くなると聞いたのでKES導入を決めました。」とのことでした。
 そこでは、初めのKESコンサル時に省エネ診断をしました。
 コンサル費用と登録審査費用は、省エネ効果でカバーできました。

 三行目の事例は、社長から「長年経営しているが、会社をより良く革新したい。」という要望がありました。
「会社が伸びるには人の育成・成長がないと伸びない。」ということで、毎月の研修会を目標設定した事例です。

 五行目の事例は、長年社長が社員にポイ捨ては止めるように注意していたけど改善されない悩みがなくなり、社内の整理整頓が進み、廃棄物も1/2に減った例です。 

(4)の一番下の事例は、コンサルに行った当初は「この会社は大丈夫かな?」と失礼ながら思いました。
 社長の息子さんが入社して間もなかったので、環境管理責任者に任命してもらい、会社全体を見られるようにしました。
 また、KES審査とは別途に経営企画などを経験したKES審査員に経営コンサルを定期的に入れるようにしました。
 結果、KES導入時から業容も数倍に伸びています。
 KESは助言ができる強みがあるので、大きな効果につながります。

(5)は、環境だけでなく経営的な視点でいろんな助言した結果の社長からの感想等です。

 下から三行目は、100%下請け体質から脱皮したいと思われていたところが、省エネを徹底して改善を進めるうちに新製品を開発され、それが経営の柱になってきた事例です。
 KESから新製品が産まれました。と喜ばれています。

 下から二行目の事例は、九州で初めてKES取得した事業所の社長の感想で、この言葉でKESに取組む事業者が増えてきました。

 一番下の例は、当初はKESに取組んでいたのですが、建設業入札の加点のためISO14001を導入しても、やはり会社にはKESがフィットすると、KESを継続している面白い会社です。

 全国に17のKES協働機関があり、2ヶ月1回の全国KES審査員研修会の前に1時間のKES協働機関情報交換会があります。
 2年前に情報交換会のテーマにした「審査員自己評価チェックリスト」の原案に多少加筆したものを紹介します。

 長年KESに取組む事業所では、単なる認証取得だけではない経営的なメリットを感じる審査が求められます。
 そのためのKES審査員の自己評価チェックリストです。

 まず挙げられるのは、審査に取組む姿勢です。

 姿勢によって、助言力に大きな違いが出ているように感じています。
 環境改善・企業支援・地域づくりへの思いが強い審査員は、自己研鑽に努め事業者に喜ばれる審査ができているように思います。
 ①は、KES設立時から口酸っぱく言われていたことです。

 2は、短い審査時間を効率的にかつ有効に審査・助言ができるように「審査前の準備が重要である」ことを書いています。

 審査時には、傾聴に努めると同時に適合性審査については熟知して、助言の時間をできるだけ多くとれるように努力します。
(基本的には、S1では3時間審査、S2では6時間審査)

 助言では、事業所にフィットする事例などを具体的に紹介します。

 経営的な課題・機会をヒアリングするとともに目標設定に反映できないかなどの検討とそのための全員参画の仕掛け・人材育成方法等を助言します。

 審査のまとめでは、有効と思われる助言事項やできるだけ良化点を引き出して記録に残します。

 所見報告には、事業所の課題・強みなどを記載して、次回の審査員へしっかり引継ぎます。

 審査員は審査だけではなく、KESを普及し辞退を防ぐために、審査事務局との連携・登録事業所に関する情報提供が必要です。
 特に、責任者・担当者が変わると大きく管理レベルが落ちるところがあります。
 人の移動情報や新規にKESに関心があるところがあったら、しっかり事務局への連絡をお願いします。

 審査員同志も有効な審査のためには、審査員研修会などに出席し、交流・研鑽に努めることが大事です。

 より事業所に喜ばれ、環境経営を広げるためには、地域の環境・経営・地域づくり等の団体・機関とのネットワーク・連携にも配慮するように努めたいところです。

 KES登録事業所での最近多い悩み・課題です。

 審査の席上では、環境的な課題だけでなく、全国的な中小企業の課題である人手不足・人の育成・事業承継について、よく話題に上がります。

 地域の経営支援機関などの情報把握・連携した活動が、付加価値の高いKES審査につながると思います。

 こうありたいなと思いながら、なかなか実践できていない点も多くあります。

 新しいKES審査員にとっては時間がかかる自己研鑽です。
 環境経営活動が長い事業所の審査のためには、順次自身の審査スキルを向上することが必要になります。

 何か参考になればと思います。

環境経営のことなら何でもお気軽にお問い合わせください。 TEL 099-223-6425