Think Globally, Act Locally!!
(地球規模で考え、地域で足元から実践)
令和2年2月28日
令和元年5月に、建築物省エネ法が改正されました。
パリ協定を踏まえた地球温暖化対策として、住宅・建築分野では、2030年のCO2排出量目標を、2013年度比40%削減としています。
今回の改正のポイントは、以下のようです。
●適合義務制度(省エネ適合性判定)の対象
従来:2000㎡以上の建築物(住宅を除く)
改正:300㎡以上の建築物(住宅を除く)
●届出義務制度の内容(対象は変わらず300㎡以上の建築物・住宅)
従来:省エネ計画の着工前の届出が義務
改正:住宅性能評価やBELS等の取得により、届け出期限の見直し
指示・命令等の実施を強化
●説明義務制度(創設)
対象:300㎡未満の住宅・建築物
内容:建築士から建築主に対し、省エネ基準への適否等の説明を義務付け
●住宅トップランナー制度、性能向上計画認定制度も見直し充実
住宅の新築では、建築主は省エネ基準に適合させるための努力が必要です。
また、建築士は建築主に以下の内容を、書面で説明することが必要です。
①省エネ基準への適否
②適合しない場合、省エネ性能確保の措置について
以上に関連して、H26-H30年度に、断熱改修前後における居住者の血圧や活動量等健康への影響を検証した情報が紹介されています。(なるほど省エネ住宅の冊子にも記載)
●家庭血圧:室温が低いほど血圧が高い。高齢者ほど影響が大きい。
断熱改修で血圧が有意に改善。室温が安定すると血圧の季節差も縮小。
部屋間の温度差、近傍室温が血圧に有意に影響。
●健康診断数値:室温が低いほど心電図異常所見等が有意に多い。
●夜間頻尿:就寝前室温が低いほど、リスクが高い。
断熱改修で夜間頻尿回数が有意に減少。
●入浴習慣:居間または脱衣所の室温が低い住宅では、熱め入浴の確率が有意に高い。
●疾病:床近傍室温の低い住宅では、様様な疾病・症状を有する人が有意に多い。
●身体活動量:断熱改修に伴う室温上昇によって、住宅内の身体活動量が有意に増加。
お風呂場などでヒートショックのため死亡する人は、1年間で1.7万人といわれます。
交通事故死の年間4000人の約4倍です。
鹿児島県では、2019年度入浴死者数は201人でした。(65歳以上が187人)
地球温暖化防止と家庭内での健康確保・向上に、今回の法改正が期待できます。
理事長 久留 正成