Think Globally, Act Locally!!
(地球規模で考え、地域で足元から実践)

2014年4月29日

 林野庁では「木材利用ポイント事業」を推進しており、その普及のため、全国縦断シンポジウムを開催しています。4月12日(土)に、鹿児島市の南日本新聞会館で開催されたシンポジウムを紹介します。

 初めに、沼田正俊林野庁長官(鹿児島市谷山出身)が「地域材の利活用の促進に向けて」のテーマで国の木づかい施策等について話しました。

世界の森林は、1700年代には森林率(土地面積比)が約50%であったものが、現在では約30%になっている。一方、日本の森林率は約70%であり、戦後に植樹した木が成長して、1秒間で3?増えている世界有数の森林国である。しかしながら、木材を活用する出口が詰まっている。有用な資源である木を伐り、活用して循環する動きを活発にすることが温暖化防止、災害予防、地域の活性化、エネルギーの自給等につながる。木材利用ポイント(新築、リフォームで各30万ポイント付与等)を活用して地元の木の活用を促進して欲しいとの話でした。

 次は、鹿児島大学遠藤日雄教授の「鹿児島県の森林・林業と県産材利用の課題」でした。
 鹿児島県は森林県であるが、生産量の自県消費が約70%と少ない。(宮崎県の生産量は鹿児島県の約4倍で自県消費が89%)鹿児島県は丸太を県外へ出し、製品を多く入れている。鹿児島県の林業は南九州の中でも影が薄い。木材を売るだけ、買うだけになっている。上流から下流までが一気通貫となる仕掛けが必要であるとの話がありました。

 後半は、「鹿児島県における地域材利用:現状と未来」のパネルディスカッションでした。
 パネラーは、上記の講師の他に山佐木材㈱社長で鹿児島県木材協同組合連合会副会長の佐々木幸久氏、かごしま地材地建グループ連絡協議会会長の福迫健氏、エフエム鹿児島パーソナリティーの有賀真姫氏でした。

 現状と課題、県産材を県内でどう活用するか?課題を克服するには?等多くの有意義な話がありました。40-50年木が増え、伐って使う時期になっているが、地域の若い人が都会に出て山が放置されている。また若い大工がいない。等の課題はあるものの、バイオマスエネルギー、列車や超高層ビル等での木の活用また大手住宅メーカーが国産材に目を向けるようになったなど明るい兆しも出ているとのことでした。

 なお、南日本新聞では5月10日前後に今回のシンポジウムについて詳細を紹介予定です。また、林業現場・田舎暮らしを都会の青年が体験する爆笑・感動の映画「WOOD JOB」が、5月10日から全国で上映されます。

 環境活動をしていると、世界の森林破壊を考え「植林」にだけ目を向けがちですが、日本の場合は、「地域の木を伐採し、利活用し、循環させることが重要である」ことを再認識させられたシンポジウムでした。

NPO法人エコサポートTGAL 理事長 久留正成