特定非営利活動法人エコサポートTGAL

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適切なEMS選択の基準と目安

適切な環境経営システム(EMS)選択の基準と目安

2023.5改訂

  私達は、中小企業が環境の視点で改善を進め、環境負荷や環境リスクを軽減させるとともに、環境意識や環境改善力の高い人材が増え、地域の環境保全が進むお手伝いをしています。
   また環境の視点でコストダウンやエコ製品・エコサービスの拡大さらにマネジメント力の強化を通じて、中小企業の経営体質が強化され地域経済の活性化にもつながればと思っています。
  そのためには、中小企業の実態にあった適切なEMSを選択し活用していくことが非常に重要だと思っています。

(1) 認証・認定取得の目的

 一般的に環境マネジメントシステム(EMS)を導入する目的は以下のようです。

  • 外的な圧力や誘因
     ① 取引先からの要請・取引条件、公共工事の入札条件及び入札資格審査での加点
     ② 企業のイメージ・信用の向上、他社との差別化
  • 内的な誘因
    ① 環境経営の基盤造り
    ② 環境リスクの低減・環境関連法令の順守
    ③ 環境負荷の軽減・コストダウン
    ④ マネジメント力の強化
    ⑤ 社内の活性化 等

(2) EMS選択の基準

 環境マネジメントシステム(EMS)を選択するには、自社の実態や認証・認定取得の目的に合うかどうかを、以下の観点で比較・検討することが必要になります。

① 投資に見合うリターンは?
 ・ コンサルと登録・維持審査費用また導入・維持にかかる内部工数は?
 ・ 期待できるコストダウン、体質強化、売り上げ増は?
 (どれだけ本気で経営体質強化に取組むかで大きな差が出ます)

② 規格の難易度は?
 ・ 業務に大きな支障なく、システム構築・維持ができるか?
 ・ 使いこなして経営に役立つものにできそうか?
 (まず経営に役立つようにするというトップの熱い思いが必須です)

 EMSの認知度は?
 ・ 取引先の要請・入札条件などにマッチするEMSか?

(3) EMS選択の目安

 私達は以下のような目安でEMSを選択されたらと提案しています。

  • ISO14001

・ 環境の特定施設が複数あり、環境負荷・環境リスクが大きい
・ 導入、維持費用を環境関連費用のコストダウン等で十分回収できる
・ 国際的な商取引をしている
・ 従業員数が多く周知徹底するために精度の高いシステムが必要
・ 知名度・認知度の高いEMSを認証取得し、イメージや信用を高めたい
・ 取引高の大きい取引先からISO14001を要請されている
 (ただしKESやEA21ではどうかを取引先に確認する。またKESやEA21をまず導入し、様子を見るのも一案)
・ 認証取得すると公共工事の入札などで優遇され、売上げアップにつながる
 (ただし売上げアップに過大な期待をしないこと)

  • KES・エコアクション21(EA21)

・ ISO14001では費用・人的面で負担が大きい
・ ステップを踏んでISO14001を認証取得したい
  (当初からステップアップに配慮しているKESが適切)
・ 事業所の環境負荷やリスクが小さく、投資のリターンも小さい
・ 20人以下の小規模事業所ではKESステップ1が最適
 (電気・ガソリンなど環境関連コストが年間300-500万円程度の事業所が多いが、
  10%のコスト削減は十分可能であり、短期間で投資回収ができる)
・ 国際的な取引はなく、国内・地域内だけの取引である
・ 取引先や自治体が取引条件として認め、取引・公共工事などで優遇される
・ 優良評価制度を検討している産業廃棄物業者(EA21が適切)
・ 低コストで手軽に環境マネジメントシステムを導入したい
・ 本社や本庁でISO14001を認証取得しているが、工場・営業所また出先機関では 費用を安くシンプルなシステムを構築したい
・ グリーンサプライチェーンで取引先に環境経営を要請している、したい

  • 鹿児島市環境管理事業所(グリーンオフィスかごしま)

・ 鹿児島市との商取引の多い事業者
・ 公共工事関連事業者
・ 無料で手軽に環境マネジメントシステムを導入したい中小事業者
・ 鹿児島市内での取引が中心の中小事業者

 

(4) EMS導入の留意点

① 環境マネジメントシステムは経営に役立ててこそ意味がある

  外的な圧力や誘因で環境マネジメントシステムを導入した場合は、認証取得が目的になり、継続的な改善ができていない、また重荷になっているところが見られます。
 外的な圧力や誘因が認証取得の動機であったとしても、環境マネジメントシステムを生かし役立てることが期待されていることを認識し、環境保全の推進と経営体質強化を主眼に環境マネジメントシステムを構築・運用していきましょう。

② 環境マネジメントシステムを導入するだけでは成果は小さい

 環境マネジメントシステムを構築し認証取得するだけでは成果は小さく、導入後もトップのリーダーシップの元に全員での改善活動が継続して大きな成果につながる、認証取得は活動の始まりと認識して下さい。

③トップのリーダーシップと全員での改善活動が重要

 いずれにしても環境マネジメントシステムを導入し、企業としての社会的責任を果たしていく、環境の視点で会社を良くしていくのだというトップの強い思い、継続していくのだという覚悟がないと成功は覚束ないと認識して下さい。
 また人の意識面・行動面の変革があって大きな成果につながりますので、トップの環境方針を伝える機会を増やし,掲示、ミーティングなどの周知・コミュニケーンそして教育・訓練に力を入れて下さい。

 

(5) 小規模事業所にとってのシステム評価

システム名 鹿児島県(建設業入札) 鹿児島市
(建設業入札)
優良産廃処理業者 ブランド 費用 難しさ 審査での助言
ISO14001 10点 20点 ×
EA21 5点 15点
KESステップ2 5点 15点
KESステップ1 5点 15点  
鹿児島市
環境管理事業所
0点 10点   市内
限定

無料

最も
容易

1h

鹿児島市の評価は、環境管理事業所に申請・認定された合計点数
鹿児島県の省エネルギー設備等補助金は、ISO14001,EA21,KESの認証取得があればMAX300万円。

システム 長 所 短 所
ISO14001
国際的だが
運用に難

①国際的に通用する
②国・県・市ともに評価が高い
(全国的には鹿児島県は最も高い)
→導入が目的になりやすい

①小企業では、費用・手間等負担大
→書類づくり等で精一杯?
②助言がもらえない、システム中心
→実績向上?レベルのバラツキ大!

EA21
環境省創設
やや面倒

①国内では通用する
②環境省・県が推奨している
③KESより知名度高い
④審査時に助言できる

①意外と書類が多い
②5目標の設定と環境経営レポートが必須。自由度?
③KESステップ1よりは割高

KES
実質面で
NO1

①国内では通用する
②民間創設でシンプルである
③ISO14001に移行しやすい
④審査時に助言できる、情報支援が有り

①民間創設であり、広報力が弱い
②地域に思いのある審査員・支援団体がないと普及しにくい

環境管理事業所
最もシンプル

①鹿児島市内では通用する
②最もシステムが簡易
③審査は無料、補助金等支援がある

①県内・国内では通用しない
②審査と助言は新規登録と3年後更新時1時間