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環境NPOの起業と今

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環境NPOによる中小企業環境経営の支援

中小企業診断士 久留 正成

 2001年にUターンする前に、創業のための事業計画書を策定しました。

  疲弊していく地元の中小企業の経営支援することと、これから大変なことになると予測される地球環境問題に貢献できないかという考えのもとに、「環境=経営=人づくり=地域づくり」活動をしようと考えました。

 「環境改善にまず取組み、人の意識・行動を変え、活動の基本となる全員参画改善活動やPDCAでの進捗管理を進め、さらには数値化・見える化・標準化・5SさらにはQC手法・TPM・ITなどの考え方・手法を導入・活用することによって、地元中小企業の経営体質を高められるのではないか」という構想です。

  もともと、ISO9001・ISO14001を国内導入当初から構築・運用していましたが、当時ISOコンサルが1000万円といわれており、県内に多い中小企業には負担が重たく、「ISOは勧めない。中小企業の身の丈にあう小さな環境経営システムKESだけを普及しよう。」と決めました。

  Uターン・創業して、予想はしていたものの、「あなた誰?環境?何故しないといけないの?鹿児島の環境は豊かだよ?KESそれ何?」という状況の中、広報・営業活動が100%でした。

  2年目に環境NPO法人を設立しましたが、その後、鹿児島市環境管理事業所やEA21等中小企業版環境経営システムが創設されました。それらの中小企業版環境経営システムの普及・活用支援に特化して、最近ではNPO法人として、毎年250社程度の審査・助言を担当しています。

  当初の構想は、少しずつ実を結び始め、「環境・エネルギーの視点で人づくり・経営体質の向上・地域貢献」を実感できて、喜んでいます。

  18年の間に、活動当初「省エネ技術」「再生可能エネルギー技術」「リサイクル技術」など先行していた日本は、他の国に抜かれ、環境活動も低迷し、環境国際会議では、毎回「化石賞」を世界のNGOから頂ける国となっています。

  17歳のスウェーデンのグレタ・ツゥンベリさんは国連の席上で「私たちは絶滅に差しかかっているのに、あなたたちが話すのは金と永遠の経済成長だけ。若者たちは、あなたたちの裏切り行為に気づき始めている。あなたたちを注視している。 私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。」と抗議して、世界では400万人の若者の抗議デモがありました。

  地球温暖化による台風や豪雨等で、2018年に世界で最も被害が大きかったのは日本であり、被害は約4兆円と言われています。

  下の図は、1994年度環境白書に掲載された「今のままの地球の未来予測データ」を図にしたものです。会社員時代から環境講座・講演会でよく使っていますが、最近、未来予測図が現実になるようで、不気味さを覚えています。

   日本では、環境意識がなかなか高まりません。「環境」とか「経営システム」と訴えても、「環境活動とは、紙・ごみ・電気の削減」、「経営システムはISOと一緒で中小企業には重たい、面倒、取得だけが目的だ」との理解不足・偏見が多く、鹿児島県内での環境経営システムの導入は、全体の1-2%です。

  そこで、経営者が最も関心のある「経営的課題」を環境目標に掲げ、改善を進めることによって、生産性を上げ、人を育て、活性化させ、結果、環境問題も解決するという戦略に大きく変えようと動いています。

  これまでの環境経営活動の重点は、以下のように変遷しています。
 

    既に、経営革新計画をKESで推進する事業所や事業所から発生するCO2をゼロとしている事業所が現れ、SDGsにも取り組み始めています。

    今、環境経営審査員には中小企業診断士的な力量が求められ、また中小企業診断士や農商工経営支援機関との連携が重要になっています。

 (*)鹿児島県中小企業診断士協会平成31年度会報を見直し作成しています。