Think Globally, Act Locally!!
   (地球規模で考え、地域で足元から実践)

平成29年1月31日

 今、日本の森林・林業が見直されています。

 日本の森林は国土の3分の2を占めており、戦後の復興期や高度成長期には需要増に対応して、植林・伐採・運搬・加工などが賑わいました。その後、外材の輸入増などもあり、木材価格の長期低迷が続き、長い間森林・林業は放置されてきました。

 今、戦後に植林した杉やヒノキが成長して、森林資源が豊かになり「木を刈り・使う時代」になっています。そのため、林野庁も2009年には「森林・林業再生プラン」を公表し、森林・林業分野を成長産業の一つとして位置づけ、大きく変革しようとしています。

 森林には、建築用木材生産以外にも国土保全、水源、生物多様性、CO2吸収、保養・保健などさまざまな機能があります。最近では、バイオマスエネルギーの資源として、また中山間地域の雇用を創出して地域創生にもつながると注目されています。

 しかしながら、長い間の森林に対する山林所有者や一般市民の無関心、林業経営の基盤弱体化が進み、森林は整備が進まず、シカやイノシシなど害獣が増え、荒廃しています。

 一方、同じく第二次世界大戦で敗れたドイツでは、林業など木材に関する産業は、電機・機械、自動車業界以上の雇用を確保して、地域の基盤産業として成立しています。

 また、環境・エネルギーの分野でも生物多様性を育む森が計画的に保全され、地産地消の重要なエネルギー源・温暖化防止対策としても森林が活用されています。

 何故、日本とドイツでそのような大きな違いが出てきたのでしょうか?

 本多静六等明治時代の先達がドイツへ留学して「ドイツは長期的なスパンで計画的に森林経営を進めている。日本は学ばねばならない。」と述べていたのを思い出します。

 短期志向で経済的な価値だけで森林を考えてきた日本人の考え方、進め方と比べ、①総合的・システム的に森林の機能をとらえ、②長期的視点で③マネジメントしてきたドイツ人の思考・実践力に感嘆します。

 ドイツでは、森林管理に関する理念・考え方を明確にして、法整備、経営・技術・現場等指導・支援・監視できる組織・人づくり、森林情報の整備と活用、インフラとしての路網づくり、マーケティング、林業機械の開発や普及さらに一般市民への啓発・参加・協働の仕組みづくりなどをシステム的に推進しています。その結果、生産性高く、循環型の森林管理ができています。

 日本の森林・林業をあるべき姿に再生するには、モデルとなるドイツなどで普通になっている見方・考え方、しくみ、マネジメントの見直し・充実強化が必須です。

 日本の森林・林業再生の第一歩として、森林組合や林業経営者がKESステップ1のような小規模向け環境マネジメントシステムを活用して、革新していくことを提案したいと思います。

理事長 久留正成