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研ぎ汁と水質汚染の関係
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■海は汚染の終着駅
陸上の汚染は水の働きにより移動して蓄積し、最終的には汚染物質は海洋に行き着きます。広大な海洋も、悲しいことにすでに人類の活動により汚染が広がってしまっています。
しかもこの汚染は、私達の家庭から排出する生活廃水がその大きな原因であると言われています。もしそれが本当であれば、私達の生活を改善することによって、湖沼や海洋の汚染を防ぐこともできるわけです。
私達の手でこの汚染を防ぐ手立てはあるのでしょうか。
■家庭排水が海を汚している
環境庁の調査によりますと、東京湾の汚濁原因の割合は、生活排水が70%、産業排水が20%、その他が10%となっています。
また、生活排水中の汚濁原因の割合は、炊事57%、風呂30%、洗濯13%となっており、炊事による排水が汚濁の大きな原因になっているとのことです。
東京湾の汚濁原因の割合
(環境庁調べ)
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生活排水の汚濁原因の割合
(環境庁調べ)
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■米の研ぎ汁が湖沼・海洋を汚染する
精米された米を水洗いすると、白く濁った研ぎ汁が出ます。生活廃水として排出されるこの研ぎ汁には脂質、タンパク質、糖質などの有機物が含まれ、河川や湖沼などの水質汚濁の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)が大きく、水環境を悪化させる原因となります。
研ぎ汁にはリンや窒素も多く含まれており、これが水質汚濁の大きな原因である富栄養化を引き起こします。
研ぎ汁と共に排出されるヌカの主な栄養成分は、タンパク質18%、脂質13%、糖質38%などとなっております。(食品成分表による)
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■研ぎ汁は下水では処理できない
研ぎ汁に多く含まれるリンや窒素は無機物であるために、バクテリア分解に頼る下水処理施設では分解処理されずに、そのまま河川や海洋に放出されてしまいます。
有機物は処理施設で有効に処理されますので、こちらは施設の充実と接続率の向上が大切になります。
EM発酵液(Effective Micro-organismms=有用微生物群)によって研ぎ汁を処理する方法が最近注目されていますが、これは商業目的とのからみもあるため、現在その実態について調査中です。
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■研ぎ汁に含まれる汚染物質の量
全国の米の年間消費量は約1,000万トンですが、この内、精米されて一般に食用として流通するのは600万トンになります。精米後にも残る肌ヌカは米の重量の約3%であることから、ヌカは研ぎ汁として推定で年間約18万トンが排出されていることになります。
■富栄養化現象
湖沼、内湾のような水の入れ替わりの少ない水域を閉鎖的水域といい、汚染物質がたまりやすくなっています。
閉鎖的水域では、水中の栄養塩類である窒素やリンなどの量が増えてくると、太陽光線を受けて藻類や植物性プランクトン、大型の水生植物などが爆発的に増殖します。
冬季になると、植物は枯死して泥となり、腐敗過程で窒素やリンを水中へ放出し、このようなサイクルが栄養塩類を急激に増加させます。これが富栄養化現象です。
すでに諏訪湖、霞ヶ浦、琵琶湖、瀬戸内海などは富栄養化が極度に進行しています。
また環境庁の調査によりますと、全国の湖沼の実に半数以上が汚染湖沼であるとされています。
■富栄養化がもらすもの
夏になると瀬戸内海などでしばしばプランクトンの異常繁殖である赤潮やアオコが発生し、魚介類に大きな影響を及ぼし、漁業に深刻な打撃を与えています。
最近の事例では、2002年8月25日に鹿児島県東町獅子島幣串(へぐし)沖で養殖ブリ32万匹が大量死し、過去最高の4億8千万円以上の被害が出ており、その原因はプランクトン(コックロディニウム・ポリグリコイデス)の異常発生によるものとの報道がありました。(数字はNTV「ザ・ワイド」から)
■水質環境基準の達成状況(環境省ホームページより)
最近の水環境の状況は、カドミウムなどの有害物質(健康項目)による汚濁は改善されてきていますが、水の異臭味などの原因となる有機汚濁(生活環境項目)については改善がはかばかしくありません。特に湖沼、内海、内湾などの閉鎖性海域においては、アオコ、赤潮、青潮などが発生し、水道や漁業などに影響が出ているところもあります(いわゆる「富栄養化」の問題)。
このような有機汚濁については、工場・事業場に関する対策に加え、日常生活に伴う生活排水に関する対策が必要であり、下水道、浄化槽、農業集落排水施設など各種の生活廃水処理施設の整備が重要です。(以上引用)
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■私たちのやるべきこと
生活廃水処理施設の充実によって、水環境が良くなることは言うまでもありません。しかし、これで全てが解決する訳ではありません。
廃水処理は、言わば対症療法です。費用もかかります。処理施設を充実させることはもちろん必要ですが、より効果的なのは廃水そのものを少なくすることです。
有機物であろうと無機物であろうと、廃水そのものが少なくなれば水環境が良くなることはいうまでもありません。
廃油を流さない、煮汁を流さない、鍋に残った食品(カレーなど)はボロ布などでぬぐってから洗う、風呂の残り湯は洗濯で再利用する…、などの方法で、生活廃水を少なくする工夫をしたいものです。
これは下水道に接続されているご家庭であれば、水道料金を節約することにもつながりますし、下水処理施設の負担を軽減することにもなります。
環境問題には様々なものがありますが、一朝一夕に解決できるものは何一つありません。
ゴミを分別して資源として再利用するリサイクルの技術が進歩してきていることは喜ぶべきことですが、その一方でプラスチック容器などを資源ゴミとするための水洗いなどによって廃水が増えてしまい、水質の浄化が一向に進まないというジレンマもあります。
処理施設の問題と同じように、リサイクルと言えども最終的な切り札には成りえないのです。
それでも、何もしないでいれば、増々悪くなることは言うまでもありません。
現状を知れば、何をするべきかは見えてくるはずです。
先ず一歩を踏み出すこと、そしてそれを弛まず続けることが大切です。最初は抵抗があるかも知れませんが、やがてそれは喜びへと変って行くことでしょう。
私たち一人一人の日々のささやかな努力が、結果的には、きれいな空気や水、そして豊かな自然の恵みとなって自分たちの許へ還ってくるのですから。
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